「BPSPという言葉は聞いたことがあっても、どのようなサービスかわからない」「BPSPは導入した方がいいの?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、BPSPとは何か基本から解説するとともに、導入するメリットや利用の流れ、注意しておきたいポイントまで解説します。
BPSPについて一から知りたいという方、導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
BPSPとは請求書支払いができるBtoB向け決済サービス
BPSPとは、Business Payment Solution Providerの頭文字をとった言葉で、BtoB向けの決済サービス(請求書支払い代行サービス)の一つです。
カード支払い未対応の売り手企業に対し、カード支払いを希望する買い手側が決済できるように、買い手と売り手をつなげるソリューションとして知られています。
それぞれ順に解説します。
BPSPが誕生した背景と市場規模は?まだ普及していない

BPSPが誕生した背景には、キャッシュレス決済の急速な拡大があります。
経済産業省が発表した「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2023年)」では、キャッシュレスによる決済率が全体の39.3%を記録。その内訳はクレジットカードが83.5%、デビットカードが2.9%、電子マネーが5.1%、コード決済が8.6%となりました(※1)。
しかしこの数字は、BtoCの取引における決済を含んだもの。BtoB間の取引では、キャッシュレス決済がなかなか浸透していません。
経済産業省が行った「キャッシュレス決済 実態調査アンケート」の結果によると、BtoB取引のみの企業の場合、キャッシュレス導入率は12.5%と低水準に。BtoC取引が少しでもある企業の場合、導入率は51/9%と倍以上に伸びます。一方、BtoC取引のみの企業では導入率80.4%を記録しており、BtoB取引におけるキャッシュレス対応への弱さが明らかとなりました(※2)。
BtoB取引においてキャッシュレス決済が進んでいない背景には、次のような理由が考えられます。
BtoBの取引額では手数料が高くなりすぎる
BtoB・BtoCでキャッシュレス決済の普及に差が生じているのは、取引額が大きく異なるためです。
BtoCの場合、日常的な支出がメインとなるため、一度の取引額が数十万円、数百万円と高額になる頻度は高くありません。一方でBtoBの場合、企業間取引であることから金額は高く、その分手数料も膨らんでしまいます。
手数料の負担が大きくなりすぎることから、キャッシュレス決済に対応できない企業が少なくありません。
決済システム導入の手間やコストが負担となる
キャッシュレス決済へと対応するためには、専用の決済システムが必要とされます。
決済システムの選定、導入、初期費用や月額費用の負担、システムの運用管理といったコストや手間を考慮した結果、「キャッシュレス決済に対応するのは難しい」と判断する企業は多いでしょう。
BPSPの活用でBtoBでもキャッシュレス決済が普及する?
「手数料が高すぎる」「決済システムの導入が面倒」といった理由で、BtoBにおけるキャッシュレス決済はなかなか普及してきませんでした。
しかし、買い手と売り手とをつなげる新たなソリューション・BPSPを活用すれば、より企業間の取引がシンプルになり、BtoBにおいても気軽にキャッシュレス決済が可能となります。
現在はBPSPというワードに聞き慣れないかもしれませんが、キャッシュレスの波が今後も押し寄せる中で、着実に普及していくサービスと言えるでしょう。
※1 出典 経済産業省 2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました
※2 出典 経済産業省 キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスの仕組み

はじめにご紹介した通り、カード支払い未対応の売り手企業と、カード支払いを希望する買い手企業とをつなげるソリューションがBPSPです。
BPSPサービスでは、売り手企業と買い手企業を仲介する立場として、売り手企業への代金立替払い、買い手企業からの支払金額受領を代わりに行います。BPSPがクレジットカード加盟店のように機能できるため、仮に売り手企業がキャッシュレス決済に対応していなくとも、買い手企業はカード決済が可能です。
この仕組みを活用しているのが、請求書支払い代行サービスと呼ばれるものです。BPSPサービスがクレジットカードの疑似加盟店として仲介することで、与信審査や代金回収、入金確認などを代行します。
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスの使用方法については、「BPSPを利用した請求書支払い代行サービスの利用の流れ」で詳しく説明しているので、ぜひご確認ください。
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスのメリット

BPSPを利用した請求書支払い代行サービスは、導入することによって次のようなメリットがあります。
それぞれ順に解説します。
BtoBの取引で請求書のクレジットカード払いができる
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスを利用すれば、BtoB取引であっても請求書のクレジットカード払いが可能です。
従来の企業間取引では、請求書を発行した上での銀行振込が一般的でした。しかし、BPSPを取り入れた請求書支払い代行サービスであれば、銀行振込だけでなくクレジットカードでも請求額を支払えます。
「銀行振込以外の支払い方法を選びたい」とお悩みの場合、非常におすすめのサービスです。
支払いを最大60日後ろ倒しできて資金繰りを改善できる

BPSPを利用した請求書支払い代行サービスであれば、支払い期日を大幅に後ろ倒しできる場合もあります。
従来の請求書払いの場合、基本的な支払い期日は1ヶ月後です。そのため、資金繰りでお困りの企業は少なくありません。一方、請求書支払い代行サービスである「SA請求書カード払い」では、利用申請を行うことによって、最長で60日後まで支払いを後ろ倒し可能です。
そのため、今すぐお金を用意するのは難しいとお悩みの場合も、スムーズな資金繰りを実現できます。
手持ちのクレジットカードが利用できて原則審査が不要
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスでは、現在ご利用のクレジットカードをそのまま使用できます。そのため、サービスを利用するためにカードを新規発行する手間もかかりません。
対応しているクレジットカードブランドもさまざまで、例えば「SA請求書カード払い」の場合、VISA・MasterCard・セゾンカード・クレディセゾン発行のアメックスに対応しています。利用中のクレジットカードを使えることで、請求書支払い代行サービスを利用したいと思った際、すぐに導入できるのは大きなメリットです。
また、「後払いを利用するとなると、審査に時間がかかるのでは?」と心配される方も少なくありません。しかし、BPSPを利用した請求書支払い代行サービスでは、原則審査が不要です。決算書や事業計画書、取引履歴などの書類も必要なく、カード審査のみですぐにご利用できます。
「SA請求書カード払い」のにおいても、申し込みはWebのみで完結し、必要書類もありません。はじめて請求書支払い代行サービスを利用する場合でも、ハードルは非常に低いといえるでしょう。
取引先に知られることなく後払いサービスを利用できる
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスであれば、取引先に気付かれることなく後払いサービスを利用可能です。
後払いサービスの利用を知られてしまった場合、「この企業は資金繰りが厳しいのでは?」「リスクが高そうなので、あまり大きな取引はしないほうがいいのでは?」という印象を与えかねません。取引数の減少を避けるためにも、後払いサービスの利用はできる限り知られたくないところです。
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスでは、売り手企業への支払いをBPSP事業者が代行しますが、名義は買い手企業の名義で行われます。そのため、売り手企業は後払いサービスの利用に気付きません。
取引縮小や契約終了のリスクを抑えながら、資金繰りを考慮して後払いを利用したい場合、BPSP事業者による請求書支払い代行サービスをおすすめします。
支払い方法が一元化できクレカのポイント還元で経費削減
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスを導入することで、支払い方法をクレジットカードに一元化でき、ポイント還元によって経費削減にも期待できます。
従来の請求書支払いは銀行振込だったため、ポイント還元は受けられませんでした。しかし、BPSPを利用した請求書支払い代行サービスであれば、クレジットカードによる支払いが可能となるため、還元率に応じてポイントを貯められます。
BtoB取引では高額取引も多いため、還元率によっては多くのポイントを獲得でき、経費削減にもつなげられるでしょう。
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスの利用の流れ
ここからは、BPSPによる請求書支払い代行サービスを利用する際の流れを紹介します。
基本的には、以下の6つのステップに沿ってサービスを利用可能です。
- 会員登録を行う
- 買い手企業が商品を購入する
- 売り手企業が請求書を発行する
- 買い手企業がBPSPによる支払い代行サービスを利用しカード決済を行う
- BPSP事業者が売り手企業に料金を支払う
- カード会社が買い手企業の口座から引き落とす
会員登録を行う
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスを導入したい場合、会員登録が必要となります。基本的には、対象となるブランドのクレジットカードを所有していれば、すぐに会員登録が可能です。
ちなみに「SA請求書カード払い」は、法人・個人事業主のどちらであっても会員登録でき、登録時の審査や面談、書類の提出などもありません。登録フォームから企業名や氏名、連絡先、パスワードなどを送信するだけで登録できます。
面倒な手続きは不要で、初期費用や月額費用もかからないため、気軽に利用できる後払いサービスをお探しの方におすすめです。
買い手企業が商品を購入する
買い手企業が売り手企業から商品を購入します。この際、BPSPによる請求書支払い代行サービスを利用するからといって、とくに対応が変わる点はありません。これまで通りに商品やサービスを注文しましょう。
対応可能な購入金額、つまりは立替振込が可能な金額はサービスによってさまざまですが、「SA請求書カード払い」では最低1万円からお振込可能です。
売り手企業が請求書を発行する
買い手企業による購買が完了したら、売り手企業より請求書が発行されます。
この際売り手企業側は、BPSPによる支払い代行サービスについて把握していません。あくまでも通常の請求書支払いとして、買い手企業に請求書が送られます。
買い手企業がBPSPによる支払い代行サービスを利用しカード決済を行う
請求書が発行されたら、買い手企業側はBPSPによる支払い代行サービスを通じてカード決済を行います。
会員ページより支払いに利用するクレジットカードを設定し、請求書情報を入力して決済を済ませましょう。サービスの利用申請は、振込日の数営業日前までに済ませておくと安心です。
ちなみに「SA請求書カード払い」では、お申し込みから最短翌日に振込可能のため、お急ぎの場合にも助かります。
BPSP事業者が売り手企業に料金を支払う
サービスの利用申請・カード決済が完了したら、BPSPサービスを提供する事業者から、売り手企業へと料金が支払われます。
この際、BPSP事業者の名義ではなく、買い手企業の名義で振り込まれるため、サービスの利用は知られません。売り手企業側からすると、これまでの銀行振込と変わりないため、後払いサービスについて気づくリスクはないでしょう。
振込が完了したら、メールやSMSなどで買い手企業側へと通知が送られます。
カード会社が買い手企業の口座から引き落とす
売り手企業への支払いが完了した後、ご利用のカード会社より購入金額とサービスの手数料が引き落とされます。
この際に発生するのはカード会社からの請求のみで、BPSP事業者からの請求はありません。
カードの引き落としが無事に行われたら、BPSPによる支払い代行サービスの利用は完了となります。
SA請求書カード払いなら取引先の支払いを60日延長

BPSPを利用した請求書支払い代行サービスは、支払いを後ろ倒しできることによって、資金繰りをサポートできる点が大きなメリットです。
なかでも「SA請求書カード払い」は、最大で60日間もの支払い延長が可能なため、資金繰りにお悩みの際も助かります。
「売掛金の回収が遅れていて、仕入費を支払えそうにない」「新規事業に向けた資金の確保に難航している」などとお困りの場合、「SA請求書カード払い」を利用することで解決できるでしょう。
BPSPを利用した請求書支払い代行サービスの注意点
BPSPによる請求書支払い代行サービスを利用する場合、次の2点に注意しましょう。
それぞれ順に解説します。
3%~5%の手数料がかかるので利用は計画的に
BPSPによる請求書支払い代行サービスは、利用時に3%〜5%ほどの手数料が発生します。そのため、カード会社からの引き落とし時には、売り手企業へ振り込んだ金額+手数料分が引き落とされるため注意が必要です。
例えば、10万円の支払いで手数料が5%の場合、10万円+手数料の5,000円で合計10万5,000円が引き落とされます。
支払い金額が増えれば増えるほど手数料も高くなってしまうため、計画的に利用するよう心がけましょう。
また、できる限り手数料の影響を抑えたい場合、クレジットカードのポイント還元率に着目するのも効果的です。ポイント還元率の高いカードであれば、多くのポイントを獲得でき、手数料による負担を軽減できます。
支払いに利用するクレジットカードを選ぶ際は、ポイント還元率の高いものはないか確認しておきましょう。
クレジットカードの上限額に達すると利用できない
BPSPによる請求書支払い代行サービスは、クレジットカードでの支払いとなります。そのため、クレジットカードの上限額に達している場合は利用できません。
BtoB取引では支払額が高くなることも多いため、いつの間にか限度額に達してしまうことも考えられます。もしも限度額に達してしまった場合、引き落としが完了するまではカードの利用を停止されてしまうため、他の支払いにも支障をきたしかねません。
カードを複数枚利用する、限度額の高いカードを利用するなど、上限額に達しないよう対策を取りましょう。